My Dear Things

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ポストをのぞくと一通の絵ハガキが…。
胸がときめく瞬間だ。
子供のころ、出張が多かった父からの絵はがきを待ち焦がれていた。
絵ハガキを手に取ると、遠い国にいる父と繋がった気持ちになれる。
風景写真や民族衣装を着た少女、珍しい図柄の切手を眺めては異国の地にいる父に思いを馳せた。
そんな絵ハガキを宝物にしていました。
大人になっても絵ハガキや切手が大好き。
2年前に訪れたフィレンツェでは、アンティークショップ巡りを堪能しました。
撮影小物用にアンティークハガキを探していた。
何軒か廻っても、宗教画や風景写真などばかりで「これだ!」というものになかなか巡り合えない。
もうフィレンツェを離れなければいけない時間の間際に見つけた、小さなアンティークショップ。
店主のMarioさんが「アンティークのハガキをさがしているのかい?」と奥から無造作に100枚ぐらいハガキが入った箱を持ってきてくれた。
私にとっては宝箱。
興奮を押さえながら、20枚ほどセレクト。
「このバラの絵は、ほらちゃんとサインが入っているだろう、アンティークハガキでは有名な作家なんだよ。」とMarioさん。
旅の醍醐味は人やモノとの素敵な出会い。
フィレンツェで出会った絵ハガキは、現在撮影小物としてヘビロテ中。

メールが全盛の昨今も手書きのお手紙を頂くと、とても温かい気持ちになれる。
自分はすさまじい悪筆なので手紙を書くのがかなり苦手。
お気持ちのこもったお便りには尊敬の念を抱いてしまう。
最近も素敵な絵ハガキをいただいた。
キュートな猫のエッフェル塔は安達さんからのパリからのエアメール。
消印もエッフェル塔というこだわり。
スタイリッシュなビーグルの絵ハガキは宇田さんが「富山でカブのオブジェにそっくりな絵ハガキを発見!」と送って下さいました。本当に驚くほどカブにそっくり。
お二人のお心遣いに大感謝。
宝物が増えました。
ワイヤーで作ったスタンドに挟んで飾って毎日眺めている。
私も旅先からさらりと絵ハガキが送れるような素敵な大人の女性を目指したい。

大みそかに慌てて掃除をはじめたら…「昔お世話になった先輩の名字は…?」と気になりだして、物置で大学の時の学生名簿を探しはじめた。
そして見つけたのは名簿ではなく古い切手帳。
小学生の時に集めていた切手コレクション。
「わー懐かしい」と眺めていたら、絵ハガキが挟まれていた。
今は亡き父の繊細な文字。
28年前の消印。
出張先のアルバニアからのハガキだった。
「今日はTiranaでの最終日。取材の方は思ったより順調。アルバニアでは観光客用の切手を売ってないので、直美の収拾のためと思って、これを出します。」
仕事人間で家庭を顧みなかった父。
家にいても寡黙だった。
私のことなんか全く気にしていないと思っていた…。
28年前の父の愛情に号泣し、掃除の続行は不可能に…。
どんなに年月が経っても色あせない人と人の気持ちを繋ぐMy Dear Things。

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