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「ミリアム・ハスケルに導かれて…」

人との出会いは不思議です。
今年4月に香港の問屋街で偶然に香港在住の清水メイ先生と出会いました。
男と女なら多分恋におちていたと思う…

4月の香港滞在でいつものように問屋街のお気に入りのお店で大量の仕入れをしました。
このお店にはアクリルのノスタルジックなお花のパーツとかもいっぱいあって、他のお店とはちょっと違うセレクションで大好きなお店です。
あまりにも購入した荷物が重そうだったのでお店のスタッフLisaさんに「6時まで預かって」とお願いし「YOGO」と名前を書いてお店を出ました。
他の問屋さんを回って6時過ぎにお店を再び訪れると「余合さん?」と流暢な日本語で話しかけてくる美しい女性が…ちょっと私がきょとんとしていると「LISAさんから余合さんが来たと言われて…」と「え〜なぜ香港で私の名前が?」とまだきょとんとしていると「ほらこの雑誌」とビーズ・ビーの切り抜きを…
やっと合点が…「そうそうこの雑誌でこちらのお店の素材を大量につかってるの〜」と私。
すると「この素材は私がこのお店におろしているの」と…。
美しい彼女は香港在住の清水さん。
「ここのお店のフィリグリーはハスケルっぽい雰囲気があって大好き」と話したら、このパーツは彼女が徹底して管理し、こだわって作っているとのこと。
「アメリカのハスケルの倉庫から届いたばかりのヴィンテージの素材もあるのよ〜」と何とも言えない金色で重厚な細工のパーツを見せてくださいました。
「ハスケルパーツに香港で出会えるなんて〜」と感動に浸りながら、いろいろとお話をしていたら「家にもっとたくさんハスケルパーツがあるから良かったら〜」と嬉しいお誘いを!

翌日、美味しい飲茶をご一緒し、彼女の素敵なご自宅で素晴らしいハスケルパーツと対面して、鳥肌がたち、涙がこぼれそうになりました。
何十年という時を経て、香港でこの子達と出会えるなんて!
この出会いは偶然と偶然が重なり合ってのこと…もし私がお店に荷物を預けなかったら、出会えなかった。
研究熱心な清水さんとハスケルについて語り合い、すごく勉強になりました。
ハスケルを愛している者同士の出会いに偶然が必然だったような…
不思議な感覚に…
ハスケルかフランクヘスが導いてくれたのではないだろうか…と。
清水さんから譲っていただいた貴重なハスケルパーツを眺めてはいつも楽しい旅の思い出に浸っている。

ミリアム・ハスケルというブランドは現在も人手に渡って存続している。
しかし、完全に経営者も経営方針もデザインも別物になっているそうです。
ハスケルの遺産とも言える膨大なパーツのストックが保管された倉庫がアメリカに存在し、その倉庫から直接のルートを清水さんは持っていらっしゃる。
ハスケルパーツに愛情を持ってくださる方々にお譲りしたいと会員制のネットショップを経営されてる清水さん。
「ハスケルはOEMだったのよ〜」と教えてくれた。
いろいろな工房や工場でビーズにワイヤーやパーツを取り付けたり、ピンを取り付けた状態にして最後にハスケルの工房で組み立てていた。
今でもハスケルの倉庫には、蝶になって飛び立つのを時を超えて待っているサナギ状態のパーツがわんさかと存在していると思うとロマンを感じた。
今までハスケルの作品集を目をさらにして眺め、「ここはこんな感じで作っているのかな〜」と想像を膨らましていた。
パーツという素晴らしいヒントが得られ「きっとこうに違いない」 とシャーロックホームズのように推理ができる楽しみ。
そして、世界中から集められた魅力的なハスケルパーツの数々に「え〜こんなモダンなベネチアンが〜!」「ミルクグラスはオキュパイトジャパンだったの〜!」と驚嘆の連続。
貴重なハスケルワイヤーも譲っていだいた。
何層にも重ねられたロシアンゴールドのメッキが美しく、アーティスティックワイヤーや真鍮線とは固さも色合いも微妙に違う。
ハスケルは本当にパーツ、ビーズをこよなく愛してたんだな〜と改めて思った。
固定概念にとらわれないパーツ選びがハスケルの良さ。
ガラスとプラスチックが一つの作品で共存、共鳴し合う自由な作品。
ハスケルこそが異素材MIXの先駆者だった。
だからこそハスケル作品に魅了され続けるんだろうな〜としみじみ。

帰国の前日に清水さんにディナーに誘っていただきました。
香港島のMILANOというおしゃれなイタリアンレストランへ。
香港で今回初めて出会ったのに、旧知の仲のように食べながら飲みながら会話がノンストップ。
このまま、この楽しい時間が永遠に続いたらいいのに〜時間が止まれ〜彼女の話を千夜一夜で…と願った。
広東語、英語が堪能で大学で考古学を専攻してらした清水さんのハスケルに対する探究心に本当に頭が下がる。
「お客様にいい加減なことは、伝えられないから〜」と何冊も洋書も熟読されている清水さん。
清水さんと出会っての3日間大変勉強なる充実した時を過ごした。
話に夢中になっていたら、いつの間に二人でお店を貸し切り状態。
お勘定をすませた後にシェフがこのワインを飲んでみろ、このプレセッコはどうだ、これも食べてみろ…といろいろと持ってきてくれた。
そして気がつくとシェフ、マネージャー、ギャルソンとお互いのカメラで撮影会。
「これから屋台に一緒に行かないか?」とお誘いまで…。
さすがに翌日帰国なのでお断りしましたが…「なぜこんなに良くしてくれるのかな〜」と二人で疑問に思っていると、清水さんがシェフの広東語を通訳してくれた…「いや〜日本人の女性でこんなに飲める人たちは初めて!」とのこと…次回訪れた時に日本人の酒豪の称号とともに写真が飾られていないことを祈る…(笑)。
気がつくと夜中の1時半過ぎていた…ビルのエスカレーターも止まった状態…。
夜中までつきあってくださったレストランのスタッフの皆様にも感謝♪
清水さんとの出会いで、とびきり楽しくワクワクした香港の夜を過ごすことができました。
この日彼女が「これは私の宝物なの」と糸に通され、パールとパールの間にノットが入ってる何とも言えない美しい色彩のハスケルパールをプレゼントしてくださいました。
パールと一緒に頂いたカードも彼女のセンスの良さとお人柄が伝わってきて、拝見して涙がこぼれた。
彼女のパーツに対して、人に対しての真摯で丁寧な愛情に感銘を受けた。
人との出会いで旅は輝きを増します。
「モノ」を通して「心」が繋がる。
そんな感動を味わった4月の香港滞在。
この偶然の出会いは必然で、彼女は私にとっての運命の人、 「FATES」かもとその時思いました。

「素敵な清水さんと貴重なハスケルパーツをぜひとも皆様にご紹介したい!」と香港ツアーを企画しました。
多くの皆様に清水メイ先生のレクチャー、ハスケルパーツを堪能していただけたこと、感謝の気持ちでいっぱいです。
いつもこのHP、ブログをご覧になってくださる皆様、講座、イベントにご参加してくださっている皆様は、私のモノヅクリの原動力「MUSE」です。

人との出会い、繋がりに恵まれた2009年。
ご一緒してくださいました皆様、本当にありがとうございました。
来年も素敵なWiredがありますように♪

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